エグゼクティブサマリー
MA支援を行う従業員38名のコンサル会社で、 案件ごとにゼロから作っていたシナリオ設計業務を再設計しました。
過去42案件のシナリオを構造分解し、 KPIツリーと分岐ロジックを抽象モデル化。 商材タイプ、リード数、目標CVなどを入力すると、 実装可能なフロー図を自動生成する仕組みを構築しました。
- 1案件あたりの設計時間: 15時間 -> 4時間
- 月間削減時間: 88時間(8案件想定)
- 年間削減時間: 1,056時間
- 人件費換算: 年間約634万円
- 構築期間: 3.5か月
- 投資回収目安: 約8か月
設計スピードだけでなく、提案時の説明可能性が上がり、 受注率は27%から34%へ改善しました。
導入前の状況(課題)
案件開始ごとに、コンサルタントが白紙からシナリオを作成していました。
- ヒアリング
- KPI仮置き
- 分岐整理
- draw.ioで手動設計
- レビュー修正
この流れで、1案件あたり平均15時間。 シニアがほぼ全案件に関与し、若手はレビュー待ちになっていました。
過去に成果が出たシナリオはありましたが、保存されていたのは図面のみでした。 「なぜその分岐にしたか」という判断構造が残らず、再利用できない状態でした。
結果として、設計工程が事業成長のボトルネックになっていました。
実施した施策
最初に着手したのは、draw.ioの自動化ではなく設計判断の言語化でした。 判断基準が曖昧なまま図だけ自動化しても、再現性が担保できないためです。
実施内容は次の通りです。
- 過去42案件のシナリオを分解
- 目標CVから逆算するKPIツリーを定義
- リード状態に基づく分岐ロジックをテンプレ化
- MA仕様制約を加味した配信ロジックを標準化
- 入力条件からdraw.io図面を生成する仕組みを実装
使用技術:
- 構造モデル管理: Notionデータベース
- ロジック処理: Pythonスクリプト
- 図面生成: MCP経由でdraw.io API連携
- 入力UI: Googleフォーム
入力から出力までの流れ:
商材タイプ・リード数・目標CV・MA仕様の入力 -> KPIツリー生成 -> 分岐ロジック適用 -> draw.ioへ構造出力
運用上の線引きとして、KPI妥当性の最終判断は人が担う設計にしました。 AIや自動化に任せる範囲を、戦略判断の手前までに限定しています。
初期トラブルと対処:
- MAツール差異で分岐数制限に抵触
- KPI算出誤差が発生
- 分岐上限パラメータを変数化して吸収
- 過去データ中央値による補正ロジックを追加
成果(定量)
- 設計時間: 15時間 -> 4時間(1案件あたり)
- 月間削減: 88時間(8案件想定)
- 年間削減: 1,056時間
- 人件費換算: 年間約634万円
- 受注率: 27% -> 34%
- 投資回収: 約8か月
現場の変化(シズル)
導入後は、若手が初期設計を担当し、 シニアは戦略設計と顧客折衝に集中できる体制になりました。
具体的な変化は次の通りです。
- 提案時に「設計理由」を構造で説明できる
- レビューが修正指示中心から戦略議論中心に変化
- 案件立ち上げ初日のアウトプット密度が向上
現場では当初、「テンプレ化で思考を奪う」という反発もありました。 最終的には「初期構造を高速に渡し、必ず人が再設計する」運用に統一し、定着しました。
同じ課題を持つ企業への示唆
以下の条件を満たす企業は、再現しやすい施策です。
- 年間30件以上のシナリオ設計案件がある
- 過去データが20件以上残っている
- 利用するMAツールの仕様制約が明確
導入期間の目安は3〜4か月。 最も時間がかかるのは、自動化実装より判断基準の言語化です。
テンプレは構造を固定できますが、戦略は固定できません。 「何を標準化し、何を人が判断するか」の線引きを先に決めることが成功条件です。
現在の設計フローを60分で棚卸しし、 再利用可能な判断要素を可視化するセッションも実施しています。

