エグゼクティブサマリー
noteで蓄積してきた約140本の記事資産を、 自社運用のオウンドメディアへ移行したいという相談でした。
当初はWordPress導入も候補でしたが、 プラグイン依存、更新時の競合、将来拡張の制約が懸念になりました。
そこで、CMSにStrapi、フロントにNext.jsを採用し、 運用と表示を分離した構成へ再設計しました。 記事投稿はAPI経由でベースコードから実行できるようにし、 GUI投稿も併用可能な体制を構築しました。
- 開発期間: 4週間
- 運用設計と定着支援: 2週間
- 記事公開作業: 90分 -> 35分(1本あたり)
- 月20本運用時の削減時間: 約18時間
- 年間削減時間: 約216時間
- 想定外注保守費: 年間約120万円を回避
- 初期投資回収目安: 約7か月
導入前の状況(課題)
記事はもともとnoteで公開され、総数は約140本でした。 社内に編集ノウハウは蓄積されていましたが、 資産はプラットフォーム依存の状態でした。
クライアントの要望は次の3点です。
- 独自ドメイン運用へ移行したい
- デザインを柔軟に変更したい
- 将来は記事生成や自動最適化も見据えたい
検討初期ではWordPressが有力でした。 ただし検証を進めると、次の懸念が明確になりました。
- プラグイン依存が前提になる
- アップデート時の競合リスクがある
- フロント実装の自由度が下がる
- AI活用を前提にした構造ではない
投稿作業も管理画面中心で、 将来的なAPI連携やコードベース投稿に遠回りが必要でした。 「まず立ち上げる」選択肢はありましたが、 2年以内の再構築リスクが高いと判断しました。
実施した施策
最初に着手したのは「投稿導線」の再設計です。 公開スピードが、メディア運営の回転率を左右するためです。
1. 業務構造を分解し、ボトルネックを特定
記事公開までの工程を棚卸ししました。
- 執筆
- 画像生成
- SEO調整
- CMS転記
- 公開確認
- SNS告知
1本あたり平均90分のうち、 SEO調整とCMS転記が合計40分を占めていました。
定型業務:
- 構造化
- メタ情報生成
- カテゴリ設定
非定型業務:
- 編集判断
- トーン調整
分析の結果、ボトルネックは執筆ではなく投稿作業でした。
2. CMSとフロントを分離し、API投稿を標準化
技術構成は次の通りです。
- CMS: Strapi
- フロント: Next.js
- ホスティング: Vercel
- データベース: PostgreSQL
Strapiを選定した理由:
- データ構造を柔軟に設計できる
- ロール管理を細かく設定できる
- REST/GraphQLの両方に対応できる
Next.jsではSSGとISRを活用し、 表示速度と更新性を両立しました。
3. API投稿とGUI投稿を併存させ、運用定着を優先
「運用者が触れなくなるリスク」と 「構造が複雑化するリスク」を避けるため、 API投稿だけに寄せず、GUI投稿も残しました。
データフロー:
執筆(ローカル) -> 構造化JSON生成 -> APIコールでStrapi登録 -> Next.jsがビルド・配信
エージェントスキル経由で、次の補助機能も実装しました。
- メタディスクリプション生成
- 内部リンク候補提示
AIに任せない領域は明確に定義しています。
- 編集方針
- カテゴリ設計
- トンマナ判断
現場調整は週2回で実施し、 毎回「何が怖いか」を先にヒアリングしました。
4. 初期トラブルと対処
- 画像最適化設定ミスで表示遅延
- APIレート制限による登録失敗
- Next.js側のImage最適化設定を修正
- 単発登録からバッチ処理設計へ変更
開発4週間後、運用設計と定着支援を2週間実施し、 実運用に移行しました。
成果(定量)
- 記事投稿時間: 90分 -> 35分(1本あたり)
- 月20本運用時の削減時間: 約18時間
- 年間削減時間: 約216時間
- 想定外注保守費: 年間約120万円を回避
- 初期投資回収: 約7か月
公開までのリードタイムが短縮され、 案件判断を即日で行える比率が大きく改善しました。
現場の変化(シズル)
導入前は、執筆後にSEO調整と管理画面転記で時間が止まり、 公開日の判断が後ろ倒しになる場面が頻発していました。
導入後は、担当者がローカルで原稿を整え、 API投稿で登録し、その日のうちに公開確認まで完了できます。
実際の変化:
- 編集担当が転記作業から解放され、執筆に集中
- SEO設定が担当者依存から構造化ルールへ移行
- 経営側からの「公開まで何日かかるか」という確認が減少
同じ課題を持つ企業への示唆
次の条件がそろう企業では、再現性が高い施策です。
- 記事本数が月10本以上ある
- 将来のAPI連携を想定している
- 内製エンジニアが1名以上いる
導入期間の目安は6週間です。 移行対象コンテンツ量により前後します。
注意点は、「とりあえずCMS導入」を目的にしないことです。 構造設計に時間を割けるかどうかが、成果を分けます。
次の一手として、以下を提供しています。
- 既存メディアの業務分解診断(60分)
- 投稿工程の工数可視化セッション
- CMS構造レビュー
まずは現状の投稿フローを書き出し、 改善余地を可視化するところから始めるのが有効です。

