エグゼクティブサマリー
広報部門で扱う採用広報、営業資料、社内報の作成工程を再設計し、 プロンプトオーケストレーション型の自動生成基盤を構築しました。
従来は1本あたり平均120分かかっていた原稿作成が、 構成確定まで15分、最終稿確認を含めても40分へ短縮。 月30本の運用で月40時間、年間480時間の削減となり、 人件費換算で年間約240万円の効果を確認しました。
開発期間は約1か月。 属人化していたプロンプト品質を標準化し、 用途別テンプレートを再利用できる状態まで整備しました。
導入前の状況(課題)
広報部では毎月20〜40本の文章を制作していました。 対象は、採用記事、導入事例、営業用説明文、社内報です。
形式は違っても、構造は似た文章が多い状況でした。 それでも毎回、次の流れで白紙から作り始めていました。
- 企画会議で方向性を決める
- 担当者が構成案を作る
- 下書きを作成する
- 上長が赤入れする
- 修正する
- 再確認する
1本あたり平均2時間、複雑な案件は3時間超。 加えて、生成AI活用時も次の課題が残っていました。
- 毎回プロンプトを作り直す必要がある
- 担当者ごとにアウトプット品質がぶれる
- 修正指示を反映する再プロンプト作業が発生する
同じ業務でも、成果物の精度が担当者のリテラシーに依存していました。
実施した施策
最初に、文章作成工程を6つに分解しました。
- コンセプト定義
- プロット設計
- アウトライン化
- ドラフト生成
- 自己評価
- 編集調整
分析の結果、時間の45%が「構造設計」に使われていると判明。 そこで、定型業務と非定型業務を明確に分離しました。
定型:
- アウトライン形式
- 見出しパターン
- 語尾ルール
- ボリューム配分
非定型:
- 目的設定
- メッセージの重み付け
- 社内事情への配慮
次に、再設計の優先対象を「プロット設計」に設定しました。 ここが曖昧だと後工程がやり直しになるためです。
判断基準:
- 再利用可能か
- 品質差が出やすい工程か
- 人間の判断が不可欠か
コンセプト決定はAIに任せず、人間の最終判断に残しました。 品質担保として、自己評価プロンプトと評価基準を実装し、 「改善提案を最低3点出力」の制約を追加しました。
技術構成:
- OpenAI API
- プロンプト分岐設計
- クラウドコード環境(IDベース実行管理)
- Gitによるバージョン管理
実行フロー:
- オーケストレーションプロンプト実行
- 用途判定
- プロット生成
- アウトライン生成
- ドラフト生成
- 自己評価
- 修正版出力
データは全工程でJSON管理とし、各工程を独立化。 単体テスト可能な構成にして、保守性を高めました。
成果(定量)
- 作成時間(1本あたり): 120分 -> 40分
- 構成確定時間: 約15分
- 月間削減時間(30本想定): 約40時間
- 年間削減時間: 約480時間
- 人件費換算: 年間約240万円
- 開発期間: 約1か月
現場の変化(シズル)
導入前は、担当者が毎回プロンプトを書き直し、 レビュー指示のたびに再生成していました。
導入後は、用途テンプレートを選択し、 必要情報を入力するだけで骨子と初稿が短時間で揃います。
現場で起きた変化:
- 文章品質のばらつきが減少
- レビュー指摘回数が平均4回から1.5回へ減少
- 広報担当者が企画設計に時間を再配分
- プロンプト設計スキルがなくても運用可能
「完全自動化ではない」設計を明確にしたことで、 レビュー工程の形骸化を防ぎながら定着しました。
同じ課題を持つ企業への示唆
次の条件が揃う企業では、再現性が高い施策です。
- 月20本以上の定型文章を作成している
- 用途が3種類以上ある
- レビューが複数回発生している
従業員規模は問いません。 広報専任がいない組織でも導入可能です。
導入期間の目安は1〜2か月です。 ただし、過去原稿の棚卸しとパターン抽出が不十分だと、 設計品質が不安定になりやすくなります。

