エグゼクティブサマリー
従業員約200名のインハウス型広告代理店で、 原稿作成業務のリードタイムを約3分の1に短縮しました。
課題は、AI活用の有無ではなく再現性でした。 個人最適なプロンプト運用が進み、成果のばらつきが拡大していました。
そこで、Google Workspace内に GASで社内専用のプロンプト共有アプリを実装しました。 固定文と変数を分離し、UI上で差し替えできる設計に統一しました。
- 原稿初稿作成: 90分 -> 30分
- リードタイム: 約67%短縮
- 月間削減時間: 約120時間(20名利用想定)
- 人件費換算: 約36万円/月
- 投資回収: 3か月以内
導入前の状況(課題)
現場はディレクター兼営業の体制で、 案件獲得から構成作成、社内外向け原稿まで担当していました。
対象業務は以下です。
- 採用記事
- 提案書用ストーリー原稿
- 社内制度の説明文
- 法務確認用ドラフト
社内でAI活用は進み始めていましたが、 プロンプト設計は各自の試行錯誤に依存していました。 優秀者のノウハウはSlackに断片的に流れ、再利用できませんでした。
1本あたりの原稿初稿作成は平均90分。 修正往復を含むと、実質2時間近くかかる案件もありました。
実施した施策
最初に実施したのは、原稿工程の分解です。
- 目的整理
- 前提情報整理
- 構成案作成
- 本文生成
- トンマナ調整
- 社内確認
分解後、ボトルネックは 「プロンプト設計」と「構成の言語化」だと判明しました。
次に、プロンプトを標準化しました。 定型文は固定化し、案件ごとの差分のみを変数入力に寄せました。
技術構成は以下です。
- Google Apps Script(GAS)
- Google Spreadsheet(プロンプトDB)
- Google Workspace内限定公開
- ChatGPT API連携
スプレッドシートでは次の項目を定義しました。
- プロンプト名
- 固定本文
- 変数定義(例:
{{職種名}}) - 用途カテゴリ
- 更新者
GASアプリ側では、 「プロンプト選択 -> 変数入力 -> 自動置換 -> ワンクリックコピー」 の導線を実装しました。
運用初期の課題は以下でした。
- 変数名の表記ゆれ
- 長大プロンプトの乱立
- 類似プロンプトの重複登録
このため、運用ルールを明文化しました。
- 変数命名規則の策定
- 200行超のプロンプト登録を禁止
- 承認制での新規登録
成果(定量)
- 原稿初稿作成時間: 90分 -> 30分
- リードタイム: 約67%短縮
- 月間削減時間: 約120時間(20名利用想定)
- 人件費換算: 約36万円/月
- 投資回収期間: 3か月以内
定量効果に加え、 原稿作成の標準時間を業務設計に組み込めるようになりました。
現場の変化(シズル)
導入前は、案件ごとにゼロからプロンプトを作り、 「この書き方で合っているか」の確認に時間を使っていました。
導入後は、担当者が用途カテゴリからテンプレートを選び、 必要な変数だけを入力して初稿を作成しています。
現場で起きた変化は次の通りです。
- 「どのプロンプトを使うか」で迷う時間が減少
- 若手でも初稿品質の下振れが減少
- ベテランは提案設計や訴求整理に時間を再配分
- 暗黙知が資産化され、引き継ぎが容易に
属人化は完全には消えていません。 ただし、成果のばらつきは明確に縮小しました。
同じ課題を持つ企業への示唆
以下の条件がそろう企業では、再現性が高い施策です。
- 月20本以上の原稿作成業務がある
- Google Workspaceを利用している
- 部署内に5名以上の利用者がいる
- プロンプト設計を言語化できる担当者が1名以上いる
導入期間の目安は約1か月です。 大規模な新規システム投資は不要です。
成功の分岐点はツール選定より運用設計です。 登録ルールと更新責任を先に決めることで、形骸化を防げます。
広告代理店、広報部門、採用広報部門と相性が高い取り組みです。
1時間のオンライン診断で、 原稿工程の分解、定型/非定型の切り分け、削減工数の試算まで実施できます。

