エグゼクティブサマリー
Webマーケティング会社(従業員45名)の運用ディレクション部門で、 月次レポート作成業務を再設計しました。
対象は、ジュニアディレクター6名が担当する広告・SEO案件32社分の定例レポートです。
- 1案件あたりの作業時間: 60分 -> 10分前後
- 月間削減時間: 約160時間
- 年間削減時間: 約1,920時間
- 人件費換算: 年間約480万円
- 導入期間(定着含む): 6週間
- 初期構築費用: 約3,000円(Codex月額課金のみ)
- 投資回収目安: 1か月以内
今回の設計方針は、業務の完全自動化ではなく、 「判断待ち時間」を削ることでした。
導入前の状況(課題)
課題は、レポート作成そのものよりも「滞留」でした。
ジュニアディレクターは毎月、以下を手作業で実施していました。
- GA4から数値を抽出
- Googleサーチコンソールの検索クエリを取得
- 広告管理画面からCSVを出力
- Excelで整形、グラフ化
- PowerPointへ貼り付け
- コメント記入
1案件あたり約60分。月32案件で約32時間。 ジュニア6名体制では月約192時間を要していました。
さらに、シニアディレクターはレポート完成まで判断できず、 施策継続や予算配分変更の判断が最大5日遅れる状況がありました。
背景には、フォーマット運用の属人化がありました。
- 「この形式はA社専用」
- 「このグラフはこの並び」
といった暗黙ルールが散在し、標準化が進んでいませんでした。
実施した施策
最初に実施したのは、業務工程の分解です。 レポート作成を次の6工程に分けました。
- データ取得
- データ整形
- 指標の再計算
- グラフ化
- 定型コメント挿入
- 個別所感記載
分解した結果、全体の約70%が定型処理でした。 時間を消費していたのは、主にコピペ、書式調整、前月比再計算です。
一方で、最終コメントの意思決定や施策変更判断は自動化対象から外し、 責任の所在が曖昧になる領域には触れませんでした。
技術構成は以下です。
- MCP経由でGA4・Googleサーチコンソール・広告媒体APIへ接続
- ターミナル/VS Codeでデータ取得スクリプトを実行
- 指標をJSON整形し、Markdownテンプレートへ反映
- 最終的にPowerPointへ変換出力
データフローは、 API取得 -> JSON整形 -> 指標再計算 -> Markdown反映 -> スライド出力 の順で統一しました。
初期トラブルは次の2点でした。
- Search Consoleのサンプリング差異
- 広告媒体ごとの日付基準の違い
API取得値と管理画面値の突合テストを2週間実施し、 日付ロジックをUTC基準に統一して解消しました。
成果(定量)
- 1案件あたり: 60分 -> 10分(作業時間83%削減)
- 月間削減: 約160時間
- 年間削減: 約1,920時間
- 人件費換算: 年間約480万円
- 投資回収: 1か月以内
現場の変化(シズル)
- シニアディレクターの意思決定が平均3日早まった
- ジュニアディレクターの残業時間が月14時間減少
- レポート作業の属人化が解消
- 作業時間を分析や改善提案に振り分けられるようになった
見た目のスライド構造は維持し、裏側のみを置き換えたことで、 現場の不安を抑えながら定着を進められました。
同じ課題を持つ企業への示唆
次の条件がそろう企業では再現しやすい施策です。
- 月20案件以上の定例レポートがある
- データ取得が手作業
- フォーマットが一定
適合しやすい企業規模は30〜150名程度。 導入期間は1〜2か月が目安です。
重要なのは、判断まで自動化しないことです。 判断は人が持ち、処理だけを機械化する。 この線引きが、現場定着の成否を分けます。

